お通夜や葬儀のとき、正しい焼香の仕方をしていますか?
焼香の順番は遺族代表の喪主からすぐに親族です。
親族は一般参列者よりも早く焼香をするため、注目されて緊張してしまうことも。
ちー婆(ばぁ)は、焼香の仕方を気にしているとお辞儀が変になってしまいます。
そこで今回の記事では「お焼香の仕方と拝礼」について親族などの立場別で紹介します。
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この記事の目次
お焼香の仕方 喪主/遺族/親族/参列者が故人へ香をあげる作法
お通夜、葬儀、法要(法事)でのお焼香には、一般的に「抹香(まっこう)」と呼ばれる香を故人の冥福を祈るために使います。
お焼香の煙は、独特のいい香りがしますよね。
実は、お焼香の本来の意味というのは「香を焚いて心身を清め故人をお参りする準備をするため」だと言われています。
以前は「沈香(じんこう)」や「栴檀(せんだん)」などの香木(こうぼく)が、原料として使われていました。
今は「樒(しきみ)」が、その原料です。
樒の樹皮や葉を乾燥させて粉末状にしたのが「抹香」ですが、仏壇に供える木としての樒は、おなじみの木ですよね。
日常のお参りには、香料を細い棒状にした「線香(せんこう)」が、抹香の代わりに使われています。
それでは、喪主・遺族(故人の家族)・親族(親戚)・参列者という順番で行われる基本的な「お焼香の仕方」を紹介します。
■基本的なお焼香の仕方
お焼香の場では、向かって右側に抹香が入った器、向かって左側に抹香を入れる香炉(こうろ)が置かれています。

お焼香をするときは、数珠(じゅず)の房(ふさ)が下にくるようにして、左手に持ちます。

そして、右手の親指・人差し指・中指の3本で抹香を少しつまみ、額(ひたい)の高さまで持ち上げます。
これを仏教では「押しいただく」といい、仏様を敬うための動作です。

持ち上げた抹香は、そのまま左側の香炉に、パラパラと指をこすりながら落とし入れます。
この「押しいただく」という動作を1回から3回行います。
この動作の回数は、宗派によって異なりますが、自分の宗派の作法でお焼香をすれば大丈夫です。
■参考記事
⇒お通夜(葬儀)の焼香で数珠を持つ意味と持ち方 ないのはマナー違反?
⇒お焼香で持つ数珠の選び方の基準って?迷わないための5つのポイント
お焼香の仕方 喪主/遺族/親族/参列者の礼作法(お辞儀の仕方)
お焼香には、葬儀の大きさや状況によって異なる3つの種類のお焼香の仕方があります。
- 立礼焼香(りつれいしょうこう)
→椅子席の式場の場合に多くある椅子に座ったお焼香の仕方
- 座礼焼香(ざれいしょうこう)
→畳敷きの式場で多く用いられる畳に座ったお焼香の仕方
- 回し焼香(まわししょうこう)
→座った状態で並び、香炉を隣の人へ順に渡して焼香するお焼香の仕方
しかし、お焼香をするときは前後に必ず「礼」をします。

ここでは、葬儀やお葬式のなかで行う機会が多い「立礼焼香」について紹介していきます。
■喪主(もしゅ)の礼の仕方
喪主は故人の葬儀において、一番重要な役割をする立場です。
まずは自分の席から立ちあがって、
1.葬儀をとり行って頂く「僧侶」に向かって「一礼」
2.葬儀に来て頂いた一般の「参列者」に向かって「一礼」
3.祭壇の一歩手前で「遺影(いえい)」に「一礼」し、お焼香をします。
4.お焼香が済んだら、遺影の方を向いたまま一歩下がり、遺影に「一礼」
5.最後にもう一度「僧侶」と「参列者」に向かって「一礼」
6.自分の席に戻る
という手順になります。
■遺族(いぞく)の礼の仕方
遺族は喪主に次いで故人に深くかかわりのある立場です。
遺族の中でのお焼香の順番は、故人の両親や子が年長者順で行うのが一般的です。
まずは自分の席から立ちあがって、
1.葬儀をとり行って頂く「僧侶」に向かって「一礼」
2.葬儀に来て頂いた一般の「参列者」に向かって「一礼」
3.祭壇の一歩手前で「遺影(いえい)」に「一礼」し、お焼香をします。
4.お焼香が済んだら、遺影の方を向いたまま一歩下がり、遺影に「一礼」
5.最後にもう一度「僧侶」と「参列者」に向かって「一礼」
6.自分の席に戻る
という喪主と同じ手順になります。
■親族(親戚)の礼の仕方
親族(親戚)は、故人から見て直系の血族で6親等までと配偶者側の姻族で3親等までの範囲です。
例えば、血族で故人の両親や子供の次にかかわりが深い親族は、孫そして故人の兄弟姉妹になります。
遺族のときと同じように、お焼香の順番は、故人にかかわりの深い年長者から行うのが一般的です。
まずは自分の席から立ちあがって、
1.葬儀をとり行って頂く「僧侶」に向かって「一礼」
2.故人の「遺族」にむけて「一礼」
3.葬儀に来て頂いた一般の「参列者(弔問客)」に向かって「一礼」
4.祭壇の一歩手前で「遺影(いえい)」に「一礼」し、お焼香をします。
5.お焼香が済んだら、遺影の方を向いたまま一歩下がり、遺影に「一礼」
6.故人の「遺族」にむけて「一礼」
7.最後にもう一度「僧侶」と「参列者」に向かって「一礼」
8.自分の席に戻る
という手順になります。
親族の場合は、喪主を含んだ「遺族への礼」も、気持ちを込めて行うのが一般的です。
■参列者の礼の仕方
親族のお焼香が終わりそうな頃、式場の係が参列者のお焼香を始める合図をするのが普通です。
合図に従って、席に座っている順番にお焼香を始めます。
自分の次にお焼香をする隣に座っている人に軽く会釈をして、立ち上がるのもマナーですよね。
まずは自分の席から立ちあがって、
1.次の人に軽く会釈
2.故人の「遺族」にむけて「一礼」
3.祭壇の一歩手前で「遺影(いえい)」に「一礼」し、お焼香をします。
4.お焼香が済んだら、遺影の方を向いたまま一歩下がり、遺影に「一礼」
5.もう一度故人の「遺族」にむけて「一礼」
という手順になります。
最近は家族葬など身内だけの少ない人数での葬儀も少なくありません。
しかし、お通夜は、立場に関係なく比較的自由に参加できるので、正しい焼香の仕方を知っておくと安心ですね。
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宗派別のお焼香の仕方 1回から3回?回数の違いと意味
お焼香で香を焚く意味は、心身を清め故人や仏様をお参りする準備をするためですが…
仏教においては、香が広がるように仏の教えが広がっていくことを願う意味があります。
また、「香」は仏様の食べ物であるという考え方から、葬儀だけでなく法事などの供養でも香をお供えするという意味もあります。
宗派は異なっても、このようなお焼香の意味とお焼香の仕方は基本的には同じです。
ここでは宗派別に異なる「押しいただく」という動作の回数などの違いを紹介します。
- 天台宗のお焼香の仕方
1回から3回で特に決まりはなく押しいただく
- 真言宗のお焼香の仕方
3回と決まっていてすべて押しいただく
- 浄土宗のお焼香の仕方
特に決まっていない
- 浄土真宗(本願寺派)のお焼香の仕方
1回と決まっていて押しいただく
- 浄土真宗(大谷派)のお焼香の仕方
2回するが押しいただかない
- 臨済宗のお焼香の仕方
1回と決まっていて押しいただく
- 日蓮宗のお焼香の仕方
1回から3回で押しいただく
- 曹洞宗のお焼香の仕方
1回目は押しいただく(主香)で2回目は押しいただかない(従香)
1回のお焼香には「一念三千」といって、「焼香のような人間の一瞬の動作にも三千の数で表された完全な宇宙の姿が存在する」という意味が込められています。
また、3回のお焼香には、仏教の「仏法僧」と言われる3つの宝を意味しているそうです。
「仏」とは悟りを開いた人、「法」とは仏が説いた教えのこと、「僧」とは仏の教えに従って悟りをめざして修行する人たちのこと。
宗派別にお焼香の仕方を見ていくと、「お焼香」にも奥深い意味があることが分かりますね。
でも一番大切なのは、お焼香の香りに故人への想いをのせて、心からの冥福を祈ることだと思います。
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まとめ お焼香の仕方と礼(喪主/遺族/親族/参列者)について
今回は、「喪主/遺族/親族/参列者の立場別でお焼香の仕方と礼」について紹介しました。
お焼香の煙は、仏様や亡くなった方の食事であるとも言われます。
仏教の経典「倶舎論(くしゃろん)」には、
「亡くなった人間が食べるのは匂いだけで、生きている間に善い行いをしてきた者は、良い香りを食べることができる」
「反対に悪いことばかりしていた者は、悪臭しか食べることができない」
と書かれているそうです。
お通夜やお葬式で正しいお焼香の仕方をすることもマナーとして必要です。
さらに一人の人間として葬儀に参列し、喪主やその遺族、親族の哀しみを想いながら、心のこもったお焼香をすることも功徳になります。
ちー婆(ばぁ)は、「お焼香」という行為が、いつか自分にも恩恵として返ってくるものなのかなと思います。