お通夜やお葬式の焼香では、数珠を半分くらいの人が持っていますよね。
でも、
- なぜ数珠を持っていくの?
- お焼香をあげるときの数珠の正しい持ち方は?
…とたずねられると、ちゃんと答えられるか不安になるのでは?
ちー婆(ばぁ)は、どうして数珠を持たないといけないのか詳しく知りませんでした。
だから、数珠を持たずにお焼香をあげていた事も…
そこで今回の記事では、「お焼香で使う数珠について意味や持ち方」を詳しく紹介していきます。
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この記事の目次
お通夜(葬儀)の焼香で数珠を持つのはなぜ?何か意味があるの?
お焼香の数珠を持つのか持たないかというのは、
「こうしなければならない!」
というはっきりとしたルールはないようです。
お通夜やお葬式には数珠を持っていくべきだと思っている人もいるし…
初めからお通夜やお葬式に数珠は持っていかないという人も…
仏教徒以外の神道やキリスト教などを信じているので、数珠を使わないというはっきりした理由がある人も…
なので、「数珠を持つのか持たないのか」というのは、人それぞれの考えでよいのかなと思います。
参考記事⇒お焼香で持つ数珠の選び方の基準って?迷わないための5つのポイント
でも数珠がないからと言って…
お通夜やお葬式の場で、急に「数珠の貸し借り」をするのは厳禁です!
これは、たとえ家族の間でさえもマナー違反。
というのも、数珠はお通夜やお葬式で使う道具というだけではなく、数珠の持ち主の身を守る「お守り」のような意味もあるから。
本来は、1人1つ持つのが数珠で、たとえ身内であっても数珠の貸し借りはしません。
ところで正式な数珠には、玉が「108個」あります。
この数字を、どこかで聞いたことはありませんか?
そう、一年の終わりを締めくくる除夜の鐘!
決まって108回鳴らしますよね。
「108」という数字は、
人間の煩悩(ぼんのう※人の欲や悩み)を表しています。
数珠は、108ある玉その1つ1つが除夜の鐘と同じように、人間の煩悩を引き受け、清めてくれるありがたい物です。
そのため、数珠を持っているだけでも厄除けになったり、数珠を持って拝むだけで仏の世界に通じて福を授かるとも言われています。
またお焼香をするときに、左手で数珠を持つ意味は、左手が「仏様の世界に通じる清浄な手である」とされているから。
左利きの人の数珠の持ち方は、少し勝手が悪いかもしれませんが、数珠を左手にかけて、右手でお焼香をしてくださいね。
お通夜やお葬式のお焼香は、故人との最後の別れを1対1(自分と故人)でできる唯一の場です。
お焼香で数珠を持つのは、煩悩を消し去り、仏の世界に旅立つ故人の心と、自分の心をつなぐためなのかもしれません。
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お焼香をするときの「略式数珠(りゃくしきじゅず)」の正しい持ち方は?
「略式数珠(りゃくしきじゅず)」とは、正式な数珠のように、108個の数珠の玉がない数珠のことです。
なので、輪が一重で、ちょうど片手でも持ちやすい小さな数珠です。
お焼香で多くの参列者が持っている数珠は、この「略式数珠」と呼ばれる数珠。

略式数珠は、数珠の玉が108個ないから「数珠としてのありがたさがない!?」というわけではありませんよ。
玉の数を少なくしていますが、数珠としての役割は十分にあり、どの宗派(日蓮宗以外)の葬儀でも使えます。
略式数珠は「女性用」と「男性用」の2つに分かれていますが、持ち方は基本的に同じです。
また葬儀場でのお通夜やお葬式でも、たとえ故人の自宅にお焼香をあげに行った場合も同じ持ち方をします。
それでは、略式数珠の正しい持ち方を紹介していきましょう。
初めに「お焼香をあげるとき」の略式数珠の持ち方です。
まず、左手の親指以外の4本の指をしっかりとそろえて伸ばします。

そして、その4本の指と親指の間に、数珠をかけます。

お焼香が済んだら、故人にむかって合掌(がっしょう※仏様を拝むこと)します。
数珠を持った左手に軽く右手を添えて合掌しましょう。

次に、自分のお焼香の順番を待っていて、椅子などに「座っているとき」の数珠の持ち方です。
座っているときの数珠の持ち方は、左手首に数珠をかけるのが一般的です。
左手首に数珠をかけた状態で、ひざの上に両手を置き、静かにお焼香の順番を待ちましょう。

最後に「歩いているとき」や「立っているとき」の数珠の持ち方です。
例えば、
- 自分のお焼香の順番が来て、椅子から立ち上がり、祭壇に向かって歩いているとき
- 告別式などで故人をお見送りするために、他の参列者と一緒に立っているとき
このような場合の数珠の持ち方は、数珠の房(ふさ)の部分を下にして、左手で持つのが一般的です。

数珠は、お焼香の時だけ使うものではなく、お通夜や葬儀、告別式など故人との別れを行う儀式の間中ずっと使うもの。
参考記事⇒お焼香を遺族の自宅でするときは?気を付けたい基本的なマナーと作法
どのような場面でも、仏様の世界に通じると言われる清浄な左手で、しっかりとした持ち方をしてくださいね。
また「数珠を使わないとき」は、必ず鞄(バッグ)やポケットの中にしまいましょう。
例えば、ちょっとお手洗いなど。
その場を離れるとき、数珠をそのまま椅子や机の上に置きっぱなし…
なんてことは決してないように!
そんな時のために、数珠を入れるための袋(数珠袋)があると便利ですよ。
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お焼香をするときの「本式数珠(ほんしきじゅず)」宗派ごとに違う持ち方は?
「本式数珠(ほんしきじゅず)」とは、数珠の玉が正式な数の108個ある数珠のことです。
また略式数珠よりも、数珠全体の長さが長いので、数珠を2重にして使います。
女性用の長さは8寸(約30㎝)、男性用の長さが2尺(約60㎝)あります。

本式数珠は、宗派ごとに数珠の持つ意味や数珠の形が違っています。
また数珠の持ち方も、宗派ごとに少しずつ違います。
ここでは代表的な7つの宗派の「お焼香をあげるとき」の、数珠の持ち方を紹介していきます。
- 真言宗
数珠は、一重の状態で両手の中指に数珠をかけて、そのまま手を合わせます。
- 浄土宗
浄土宗の数珠は、2つの輪を交差させた独特の形をしています。
2つの輪をそろえて両手の親指にかけ、房を自分の手前に垂らします。
親指をそろえて、数珠を親指で押さえるようにして持ちます。
- 浄土真宗
2重にした数珠を両手にかけて、親指で軽く上から押さえ、残りの4本の指はきちんと閉じてそろえます。
合掌した手は、胸の前に持っていき、指全体が斜め45度くらいに上に向くようにします。
- 日蓮宗
日蓮宗の本式数珠は、房が全部で5本あり、2本の房と3本の房に分かれています。
数珠を8の字にねじり、2本の房がでている方を右手の中指にかけます。
さらに3本の房が出ている方を左手の中指にかけ、房は両方とも手の甲側に垂らして合掌します。
- 曹洞宗
輪を2重にして、親玉(一番大きな玉)が左手の人差し指の上になるようにかけます。
右手を左手に添えて、房は下に垂らして合掌します。
- 臨済宗
2重にした数珠を左手にかけ、右手を添えるように合わせ、房は下に垂らして合掌します。
- 天台宗
数珠の輪を一重の状態で、両手の人差し指と中指の間に挟み、そのまま手を合わせて合掌します。
本式数珠は、宗派ごとに違いがありますが、「自分の宗派のお通夜やお葬式にしか使えない」ということではありません。
宗派の違いがあっても、本式数珠を持ち、心から故人への冥福を祈る気持ちが大切です。
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まとめ お焼香で数珠を使う意味・持ち方・数珠の種類などについて
初めに「お焼香で数珠を持つのはなぜ」と書きましたが…
お焼香で数珠を「使う」「使わない」というのが問題ではないような気がします。
それよりも、昔から日本に伝わる数珠について、もう少し興味を持ってみることが大切なのかなと思います。
ちー婆(ばぁ)は、数珠の意味や正しい持ち方を知って、自分の数珠を1つ持ちたいなと思いました。
また数珠は、お通夜やお葬式でしか使わない物だと思っていたのですが、自分だけのお守りとして常に持っていたいとも。
お通夜やお葬式で「マナー」であると昔から言われていることには、何にでも大切な意味があります。
自分の数珠を持っている人は、あらためてじっくりと数珠を眺めてみるのもいいかもしれません。
数珠が使われる意味をしっかりと理解して、お焼香をする。
そのことで、故人に対しての想いがより強まり、故人に届くのではないでしょうか。