「祝う」「子」と書いて「ほうり」。
延岡市を流れる祝子川の読み方は地元の人でないとなかなか読めないですよね。
「ほうり」と読める人でも由来を知っている人は少ないかも?
宮崎は天孫降臨の地と言われ各地にたくさんの神話が伝わっています。
その中の1つが祝子川温泉近くにある「神さん山」。
今回は神話のふるさと宮崎を改めて実感した「神さん山(延岡市北川町)」を紹介します。
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この記事の目次
神さん山(延岡市北川町)へのアクセス方法は?
神さん山は、延岡市北川町の祝子川渓谷大崩山の麓に位置します。
なので、どのアクセス方法を使っても秘境と言われる狭い林道を通ることになりますが…
神さん山: 延岡市北川町川内名10386
宮崎市内から行く場合は、まず国道10号線を通って延岡市内まで行きます。
延岡市から北川町に向かう県道207号線岩戸延岡線に乗って約1時間です。
また大分方面から行く場合は、国道326号線を通って南下し、林道竜子下祝子線(峠道)に乗り約1時間。
神さん山までの道は、車の離合などが難しいなかなか大変な秘境の道。
山に近づくにつれて道幅は狭くなり、道路の両端には崖と岩肌が迫っている感じです。
そこで、車の運転にちょっと自信がないちー婆(ばぁ)のような人におすすめなのは「路線バス」に乗ること。
延岡駅から平日のみ1日2便運航しています。

1日2便の発車時間は、「12時」と「15時50分」ですが、もちろんおすすめの時間は「12時」発。
お弁当を持ってバスに乗り込めば、のんびりと昼食をとりながら景色を眺めているうちに、約1時間で到着します。
延岡駅に戻る帰りの便は、夕方の5時です。
神さん山を散策した後に、近くにある祝子川温泉にゆっくりと入る時間も十分あります。
今年の10月からはバスの運賃が片道1080円から、片道500円に値下げされています。
400セット期間限定ですが、往復のバス運賃と祝子川温泉の入浴券もついたお得意なセットも500円。
今すぐに休日の予定が立ちそうな方は、路線バスの旅も趣があっていいと思いますよ。
※ 参考記事⇒ 祝子川温泉美人の湯行き 路線バスが車幅4mの秘境を走る?!
路線バスの終点は、祝子川温泉美人の湯。

温泉案内板には、祝子川渓谷に生息する天然記念物のニホンカモシカが…
温泉の駐車場からも、原生林と雄大な大崩山の姿がよく見えます。
紅葉の季節は、もっと美しい景色が見られるのでしょうね。

祝子川温泉から、神さん山には徒歩で行くことができます。
それでは、次に祝子川温泉から「神さん山」に行くまでの様子を紹介します。
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神さん山(延岡市北川町) 秘境大崩山の雰囲気が味わえるトレッキング
大崩山は、火山活動で造られた花崗岩(かこうがん)が隆起侵食してできた山です。
延岡市だけでなく県内外から毎年多くの登山者が訪れ、沢登りやトレッキングなど大崩山の自然を楽しんでいます。
九州最後の秘境と言われる1644mの名峰大崩山登山は…ちょっと無理という方。
往復約1時間で楽しく十分に大崩山の雰囲気を味わえる「神さん山トレッキング」はどうでしょうか?
祝子川温泉の方に「神さん山までの行き方」をたずねると…
「祝子川温泉から207号線を少し登って行くと、途中に神さん山への案内板があるので、そこから山道に入ってください。」
「田んぼのあぜ道みたいな山道を行くと、石段が240段あって、登りきるとその頂上に鳥居と大きな岩がありますよ。」
と教えてくれました。
普通の体力なら1時間あれば行ける、ということなので温泉に入る前に行ってみることに。
道路左側に大崩山を見ながら進んでいくと…

道路右側に美しい「棚田」が見えてきます。
大崩山の麓で収穫されるお米は、とても美味しいのでしょうね。

棚田の奥にはやっぱり雄大な大崩山の風景が見えて清々しさを感じます。

しばらく道なりに進むと、道路左側の山林に「祝子川キャンプ場」コテージ大崩が見えます。

夏には、渓流釣りをしたり、川遊びやバーベキューをしたり、たくさんの人で賑わう場所です。
民家もなくなってくると、道路右側の風景は岩が多くなり渓谷の雰囲気が…

温泉から約10分ぐらい歩いたところに、「神さん山登り口の案内板」があります。

その案内板から山道に登って行きます。


短いあぜ道を過ぎると、急に道が険しくなっていてびっくり!
途中で1か所だけ少し登りにくい場所がありますが、ちゃんとロープが準備されています。

ロープを持って登ると楽に登れますよ。
大崩山は、国の天然記念物に指定されている孟宗竹(モウソウチク)でも有名です。
もっと珍しい孟宗金明竹(モウソウキンメイチク)は見ることができませんでしたが…
神さん山の頂上に向かう道の周りは、下の写真のような神秘的な竹林です。

途中に石段があると聞いていたので、ここの事かなと思った場所。



どの場所も階段ぽい感じはするけれど、石段ではないよなと思いながら進んでいくと…
けっこう急な登り山道になってきて、本当に石で作られている階段が現れます。

このあたりがちょうど中間地点かな?
周りの風景も少し山に登ってきたなあというような雰囲気になってきます。

神さん山の竹林と原生林に囲まれた山道の石段をゆっくりとマイペースで進みましょう。
新鮮な山の空気がとってもおいしいですよ。


竹林の中に突然現れた大きな岩!
思わずこれがパワースポットで有名な神さん山の大岩?!と間違ってしまった…

ここからもう少し進んでいくと視界が急に開けて…
山の頂上にしては、結構広い場所に到着。
どうやらここが神さん山の頂上になるようです。
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神さん山(延岡市北川町) パワースポットの理由はホオリノミコト神話?!
神さん山の頂上は、想像していたよりも平らで広い場所でした。
頂上の周りは、木々に囲まれていて…
昼間にしては少し薄暗く、神々しい雰囲気がしています。
石段を登りきった所から見ると…
正面に大きな岩と歴史を感じる高い木。
その場所が、国内屈指の磐座(いわくら※神様が宿る岩)と言われる巨石です。
昔、延岡市北川町の祝子川神社としても祀られていたという場所でもあり、鳥居が今も残っています。

神さん山の巨石は、よく見ると、2つの岩が互いに支えあったような感じで立っているのがわかります。
1つは高さ24mの大きな岩、もう1つがそれよりも少し小さい高さ15mの岩。
そして、その2つの巨石の間にピラミッドのように、真三角形をした約2mほどの小さな岩が1つ。

長い歴史の中で、こんなにきれいな三角形の岩ができるの?と疑ってしまいたくなるくらいきれいな三角形。
やっぱり何か、昔々の神様と縁がありそうな気がしてくるから不思議です。
パワースポットとして有名な神さん山には、次のような「日本神話」が伝わっています。
昔々、天の神「ニニギノミコト」が、山の神の娘「コノハナサクヤヒメ」に恋をします。
ニニギノミコトが、コノハナサクヤヒメに声をかけたのは延岡市の愛宕山であるとも…
めでたく2人は結ばれますが、愛を証明するためにコノハナサクヤヒメは、燃え盛る炎の中で出産。
最初に生まれたのが兄の火照(ホデリ 海幸彦)。
最後に生まれたのが弟の火遠(ホオリ 山幸彦)。

宮崎の神話では、ホデリとホオリという名前よりも「海幸彦と山幸彦」という名前がよく知られています。
実は、古事記に名前が残っているだけのようですが、真ん中にもう1人火進(ホスミ)という弟も。
出産後にコノハナサクヤヒメが生まれてきた子供のために使った産湯(うぶゆ)が、延岡市の中で一番冷たい「祝子川」の水。
祝子川を「ほうり」と呼ぶのは、このエピソードが由来だそうです。

そして、ホオリノミコト(山幸彦)の産屋(うぶや)として神さん山の磐座が使われ、延岡で幼少期を過ごしたとも言われています。
ホオリノミコトは、後に海の神トヨタマヒメと出会い、鵜戸神宮の祭神ウガヤフキアエズノミコトが生まれます。
ウガヤフキアエズノミコトは、神武天皇のお父さんになる方です。
というふうに…スゴイつながりの歴史物語が、延岡市北川町の祝子渓谷「神さん山」から始まっているのですね。
今でも、山を訪れる私たちに目に見えないエネルギーを与えてくれるパワースポット「神さん山」。

また機会があったら、神話を思い出しながら石段を一歩ずつゆっくりと登ってみたいと思います。
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まとめ 神さん山(延岡市北川町) 祝子川渓谷のパワースポットについて
ところで世界遺産は「手つかずの自然をそのままの状態で守ること」を原則にしていますが…
ユネスコエコパークは「自然と人間社会との共生」(自然を守り、自然を利活用する)を目的にした国際機関です。
延岡市の祖母傾山系大崩山は、2017年にユネスコエコパークに登録され、神さん山もその一部。

大崩山↑
※ 明治維新で活躍した鹿児島の「西郷隆盛」も、西南戦争(西南の役)で通ったとされる「大崩山」
※【参考記事】
⇒ 【龍門司坂】鹿児島県にある穴場観光地!大河ドラマのロケ地でも有名ってホント?
⇒ 「西郷どん」のロケ地in鹿児島へ!龍門司坂と仙厳園を訪れあの名シーンと出会う!
神さん山でも歴史ある大切な自然を守りつつ、人間社会に共生させる取り組みがちゃんと行われています。
それは、延岡市北川町主催の「神さん山コンサート」。
コンサートでは、バイオリンやチェロの演奏が行われ、山々にその音が響き渡るそうです。
神話のふるさと宮崎には、神さん山の巨石や神さん山の横を流れる祝子川のように神話が伝わる場所が他にもたくさんあります。
パワースポットに行く前に、その場所に伝わる神話や歴史を知るともっとパワーを感じるのではないかなと思います。
※ 延岡市に関係のある記事
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